for the beginning
入籍・婚姻届の手続きで、ほんとうに必要なことは意外と少ない
最終更新 2026.07.26約14分出典8件公的3法令4民間1
広告や手数料で本文とおすすめを動かしません。編集方針
入籍の手続きを調べ始めると、「戸籍謄本」「届書の証人欄」「届け出後の氏名変更」……見慣れない言葉が次々に出てきて、つい後回しにしたくなります。
でも、蓋を開けてみるとやることの数は意外と少ないのです。しかも、ここ数年の法改正で手続きはさらに軽くなりました。押印はいらなくなり、戸籍謄本を取りに行く必要も原則なくなっています。
ひとつ困るのは、インターネットに残っている説明の多くが、改正前のままだということ。「戸籍謄本を用意しましょう」と書いてあるページを見て、わざわざ取り寄せる必要はもうありません。
このページでは、いま(2026年時点)の制度で、婚姻届の準備から届け出後のやることまでを一つずつ並べます。読み終えるころには「あ、これならできる」と思ってもらえたら嬉しいです。
まず、「入籍」と「婚姻」はどう違うか
日常では「入籍する」と言いますが、法律上の正式な手続きは婚姻届の届出です。
戸籍法でいう「入籍」は、もともと「既にある戸籍に入る」ことを指します。婚姻届を出すと、ふたりは新しい戸籍を作るか、一方の戸籍にもう一方が入る形になります。つまり多くの場合、「入籍」よりも「新しい戸籍をつくる」のほうが実態に近いのですが、慣用的に「入籍」で通じるので、このページでもそのまま使います。
言葉の正確さより、届出の流れを掴むことのほうがずっと大事です。
この5年で、手続きは軽くなりました
先に、いちばん誤解されやすいところから。婚姻届まわりの制度は、この5年で立て続けに変わっています。
- 2021年9月、戸籍の届書への押印義務が廃止されました。署名だけで届け出できます(希望すれば任意で押すこともできます)[6]。
- 2022年4月、婚姻できる年齢が男女とも18歳に統一されました(それまで女性は16歳)[7]。
- 2024年3月、戸籍届出のときの戸籍証明書(戸籍謄本)の添付が原則不要になりました[4]。
- 2024年4月、女性の再婚禁止期間が廃止されました[5]。
いずれも、ふたりの手間が減る方向の変更です。にもかかわらず、検索で上位に出てくる解説記事には、改正前の説明がそのまま残っているものが少なくありません。「印鑑を忘れずに」「戸籍謄本を取り寄せて」。もう必要ないことのために準備しないでください。
2021年9月
届書への押印義務が廃止。署名だけで届け出できる(任意で押すのも可)
2022年4月
婚姻できる年齢が男女とも18歳に統一(女性は16歳から引き上げ)
2024年3月
戸籍証明書(戸籍謄本)の添付が原則不要に
2024年4月
女性の再婚禁止期間が廃止
それぞれの根拠は、本文中の出典番号を参照してください。
婚姻届に必要なもの(戸籍謄本は、もう要りません)
いま必要なものは、届書と本人確認書類、それに証人2名の署名です。
1. 婚姻届(届書)
市区町村の窓口で無料でもらえます。ご当地デザインの届書を出している自治体もあります。サイズと記載事項が戸籍法施行規則に沿っていれば、どの届書でも受理されます。押印欄がある様式でも、押さずに出して大丈夫です[6]。
2. 本人確認書類
届け出の窓口で提示します。運転免許証やマイナンバーカードなど、顔写真付きのものが1点あれば足ります。
3. 証人2名の署名
成年(18歳以上)ふたりの署名が要ります。詳しくは次の項で。
戸籍謄本(戸籍証明書)は? 2024年3月1日から、原則として要りません。本籍地ではない市区町村の窓口に届け出る場合でも、受け取った側の職員が本籍地の戸籍を確認できるようになったためです[4]。以前は「本籍地以外に出すなら1通ずつ用意」と説明されていましたが、その手間はなくなりました。
ただし「原則」なので、コンピュータ化されていない一部の古い戸籍などでは例外があり得ます。心配な場合は、出す予定の窓口に一本電話で確認すれば数分で済みます。
- 1
婚姻届(届書)
市区町村の窓口で無料。ご当地デザインもある。押印は任意。
- 2
本人確認書類
運転免許証やマイナンバーカードなど、顔写真付き1点。
- 3
証人2名の署名
成年(18歳以上)なら誰でも。親族でなくてかまわない。
戸籍謄本(戸籍証明書)は原則不要になりました。
証人は誰に頼む?
婚姻届には、成年の証人2名の署名が必要です。
証人は親族でなくてかまいません。友人、同僚、恩師。ふたりのことを知っていて、快く引き受けてくれる人であれば誰でも大丈夫です。実際には、親・きょうだい・親しい友人に頼むケースが多く見られます。
証人に記入してもらう欄は、氏名・生年月日・住所・本籍の4つ。事前にお願いして、当日か郵送で書いてもらいます。ふたりが直接会える人のほうがやり取りは楽ですが、遠方の方に郵送でお願いすることもできます。
「頼みにくい」と感じるかもしれませんが、証人を頼まれることを嬉しく思う人は多いものです。気負わず声をかけてみてください。
なお、証人欄にも押印は要りません(2021年9月から任意)[6]。「印鑑を持っていないから」と断られることは、もうありません。
どちらの姓にする? 94.1%は夫の姓、でも決まりではありません
婚姻届には、夫と妻のどちらの氏(姓)を名乗るかを選ぶ欄があります。日本の法律では夫婦が同じ姓を名乗ることになっているため、どちらかを選ぶ必要があります。
実際の選ばれ方はこうです。2024年に結婚したふたりのうち、夫の姓が94.1%(45万6,453組)、妻の姓が5.9%(2万8,639組)[3]。圧倒的に夫の姓が多いのは事実です。
ただ、これは「決まり」ではなく、集計の結果でしかありません。 法律上はまったく対等で、どちらを選んでも手続きも扱いも変わりません。そして数字は少しずつ動いていて、妻の姓を選ぶ夫婦の割合は1995年の2.6%から2024年の5.9%へ、30年で2倍以上になりました。
決めるときに考えておくと後が楽なのは、次の3つくらいです。
- 改姓の手続きは、姓を変えた側にだけ発生します(免許証・パスポート・銀行・勤務先……このページの最後に並べたものが、片方にだけ乗ります)
- 仕事上の名前は、旧姓のまま使い続けられます(マイナンバーカードや住民票には旧姓を併記できます)
- どちらかの家が「継ぐ」話とは、切り離して考えていい(姓の選択は、戸籍上の氏をどちらに揃えるかという手続きです)
「なんとなく夫の姓」で決まることが多い項目ですが、一度ふたりで話してから決めたという事実そのものが、あとで効いてきます。
同じ年の「夫の姓」は、順に97.4%・96.3%・96.0%・95.3%・94.1%。30年で妻の姓は2倍以上になったが、いまも9割超が夫の姓を選んでいる。棒の長さは項目間の比較用で、100%に対する比率ではない。[3]
婚姻届はいつ出す? 入籍日の選び方
婚姻届は、届け出た日が入籍日(婚姻の効力発生日)になります。「いつ届け出るか」がそのまま記念日になるので、日取りを意識するふたりも少なくありません。
よく選ばれる入籍日には、こうしたパターンがあります。
- ふたりの交際記念日
- どちらかの誕生日
- 語呂合わせの日(11月22日「いい夫婦の日」など)
- 挙式と同じ日
もちろん、特に日取りにこだわらず「書類が揃ったから出す」でもまったく問題ありません。入籍日を結婚式の前にするか後にするかに決まりはなく、どちらでも婚姻届は受理されます。
結婚式をする場合、式の前に届け出るふたりのほうが多いという調査がありますが[8]、順序によって不利になることはありません。ふたりの都合で決めてください。
ちなみに2024年の婚姻件数は48万5,092組[1]、平均初婚年齢は夫31.1歳・妻29.8歳でした[2]。ひと組ひと組の事情はまったく違いますが、「自分たちだけ遅い/早い」と感じたときの目安にはなります。
どこに出す? 提出先と受付時間
婚姻届は、全国どの市区町村の窓口でも届け出ることができます。住所地でも本籍地でも、旅行先の役所でも受理されます。
受付は24時間365日。平日の開庁時間に限らず、夜間や休日でも「時間外受付(宿直窓口・守衛窓口)」で届け出ることができます。ただし、時間外の届け出はいったん預かりとなり、翌開庁日に戸籍担当が内容を確認します。不備がなければ届け出日が入籍日として成立しますが、記載に不備があると補正を求められ、届け出日がずれる可能性があります。
大切な日に届け出たい場合は、事前に窓口で内容を確認してもらう(いわゆる「事前審査」)のがおすすめです。多くの自治体が対応しており、当日の安心感がまるで違います。
戸籍証明書が別途必要になったときは。 婚姻届自体には原則不要ですが、勤務先の手続きなどで戸籍証明書を求められることはあります。2024年3月からは本籍地以外の窓口でも請求できるようになりました(広域交付)[4]。本籍地が遠方でも、最寄りの役所で受け取れます。ただし使い方に制限があるので、下にまとめました。
できるようになったこと
- 本籍地が遠方でも、最寄りの市区町村の窓口で請求できる
- 本籍地が全国に散らばっていても、1か所の窓口でまとめて請求できる
- 本人・配偶者・父母・祖父母・子・孫の分も請求できる
気をつけること
- 郵送や代理人では請求できない(本人が窓口へ行く必要がある)
- 顔写真付きの身分証明書の提示が必要
- きょうだいの戸籍証明書は請求できない
- コンピュータ化されていない戸籍は請求できない
2024年3月1日開始。婚姻届そのものには原則不要ですが、別の手続きで戸籍証明書が要るときに使えます。
記入で間違えやすいところ
婚姻届の記入でよくある間違いと、気をつけたいポイントです。
- 氏名: 戸籍に記載されている字体で書きます。旧字体の方は特に注意(「邊」と「辺」など)。
- 本籍: 住所とは異なります。わからない場合は、本籍地入りの住民票を取るか、マイナンバーカードのコンビニ交付で確認できます。
- 父母の氏名: 実父母の氏名を書きます。他界している場合も記入します。
- 届出人の署名: 必ずふたり本人が自署します(代筆不可)。
- 証人欄: 証人が自署し、生年月日・住所・本籍を記入。ふたりが代わりに書くことはできません。
書き間違えたら? 修正液は使わず、二重線を引いて欄外に正しい内容を書き、届出人の署名をします。押印は2021年9月から任意なので、修正印も要りません[6]。印鑑を持っていなくて困ることはありません。
窓口で記入の不備を指摘された場合も、その場で修正できます。完璧に書いて持っていく必要はありません。
再婚のふたりへ。待つ期間は、なくなりました
届け出後にやること。そして、それは片方にだけ乗ります
婚姻届が受理されたら、氏名や住所の変更に伴う手続きがいくつかあります。すべてを一度にやる必要はありませんが、早めに済ませると楽なものから並べます。
先に一つ、あまり書かれないことを。この一覧は、姓を変えた側にだけ発生します。 94.1%のケースでは妻側です[3]。窓口を回るのも、名義変更の書類を書くのも、仕事上の名前をどうするか決めるのも、片方だけの作業になります。だから「ふたりのやることリスト」として並べるより、もう一方が同行する・書類を取ってくる・並行して別の手続きを引き受けると決めておくほうが、実態に合っています。
- 住民票の変更(転居を伴う場合): 引っ越しと入籍が近い場合は、転入届と同時に行えることがあります。
- マイナンバーカードの氏名変更: 市区町村の窓口で。婚姻届と同日に手続きできる場合もあります。
- 運転免許証の氏名・本籍変更: 警察署や運転免許センターで。新しい住民票(本籍入り)が必要です。
- 銀行口座の名義変更: 金融機関の窓口で。届出には新姓の確認書類が必要です。
- パスポートの変更: 旅行の予定がある場合は早めに。新規発行か記載事項変更かを選べます。
- 会社への届出: 勤務先の人事・総務へ。社会保険や扶養の手続きに必要です。
- 各種保険・クレジットカード等: それぞれの窓口やオンラインで。
住民票は多くの手続きで求められるので、婚姻届を出したあと数通まとめて取得しておくと便利です。
年間の婚姻件数は約48万5千組[1]。多くのふたりがこの一連の手続きを済ませていて、窓口も慣れています。わからないことは遠慮なく聞いてください。
届け出当日〜
住民票の変更(転居を伴う場合)
1週間以内
マイナンバーカード・運転免許証の氏名変更
2週間以内
銀行口座・クレジットカードの名義変更
必要に応じて
パスポート・保険・会社届出
クレジットカード不要・登録は1分。入籍から当日まで、やることを一つにまとめられます。
この記事を送る
タイトルとリンクが一緒に入るので、送られた側にも何の記事か伝わります。
よくある質問
- 入籍と結婚式はどちらが先ですか?
- どちらでもかまいません。結婚式の前に届け出るふたりのほうが多いという調査がありますが[8]、順序によって法的に不利になることはありません。ふたりの都合で決めてください。
- 証人は親族でないといけませんか?
- いいえ。成年(18歳以上)であれば、友人・同僚・恩師など誰でもかまいません。証人を頼まれることを喜んでくれる方は多いので、気負わず声をかけてみてください。
- 夜間や休日でも届け出できますか?
- できます。市区町村の時間外受付(宿直窓口)で24時間365日受け付けています。ただし時間外は預かりとなり、翌開庁日に内容確認されます。記載に不備があると届け出日がずれる場合があるため、大切な日に届けたい場合は事前審査がおすすめです。
- 書き間違えたらどうなりますか?
- 修正液は使わず、二重線を引いて正しい内容を書き、届出人の署名をすれば修正できます。窓口で指摘された場合もその場で直せます。完璧に仕上げて持っていく必要はありません。
- 戸籍謄本(戸籍証明書)は必要ですか?
- 2024年3月1日から、婚姻届に添付するのは原則不要になりました。本籍地ではない市区町村に届け出る場合でも、受け取った窓口の職員が本籍地の戸籍を確認できるようになったためです[4]。「本籍地以外なら1通ずつ用意」という説明は改正前のものです。ただし「原則」なので、コンピュータ化されていない古い戸籍などでは例外があり得ます。不安なら出す予定の窓口に電話で確認してください。
- 夫と妻、どちらの姓にしなければいけませんか?
- どちらでもかまいません。法律上まったく対等で、どちらを選んでも手続きや扱いは変わりません。実際には2024年に結婚したふたりの94.1%が夫の姓、5.9%が妻の姓を選んでいますが[3]、これは集計の結果であって決まりではありません。姓を変えた側にだけ改姓手続き(免許証・パスポート・銀行・勤務先など)が発生するので、その負担も含めてふたりで話して決めてください。
出典
数字は公開された一次情報から。公的統計・法令の公的解説と、民間調査を区別しています。
- [1]厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計(確定数)」(婚姻件数)公的統計2024
- [2]厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況」(平均初婚年齢)公的統計2024
- [3]内閣府男女共同参画局「夫の姓・妻の姓別にみた婚姻件数」(厚生労働省「人口動態統計」より作成)公的統計2024
- [4]法務省「戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)」(戸籍証明書の添付原則不要・広域交付)法令・制度2024
- [5]法務省「民法等の一部を改正する法律について」(令和6年4月1日施行・女性の再婚禁止期間の廃止)法令・制度2024
- [6]法務省「戸籍届書の様式変更について」(令和3年9月1日・押印義務の廃止)法令・制度2021
- [7]法務省「民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について」(令和4年4月1日施行・婚姻適齢の統一)法令・制度2022
- [8]結婚・結婚式の実態調査2025(マイナビウエディング)民間調査2025
この記事の編集方針
このガイドは、結婚式の準備をまるごと手伝う無料アプリ「Harebiyori」が書いています。送客手数料や広告費で、記事のおすすめ・順位を動かすことはありません。だから費用も段取りも、どこかへ誘導することなく、ふたりの側に立って書けます。
数字は、厚生労働省の人口動態統計などの公的統計と、公開された民間調査の一次情報に基づく目安です(各ページ末尾に出典を明記しています)。地域・会場・時期によって幅があるので、最後はふたりのペースで読み替えてください。