一日で全部やらなくていい
入籍後の名義変更は、どこから? 順番と、実は要らない手続き
最終更新 2026.08.01約9分出典7件公的1法令6
広告や手数料で本文とおすすめを動かしません。編集方針
婚姻届を出した帰り道に、「で、これから何をすればいいんだっけ」と立ち止まった人は多いと思います。
市区町村の窓口は、婚姻届の受理までは丁寧に案内してくれます。けれどその先に続く名義変更は、免許証は警察、パスポートは旅券窓口、年金は日本年金機構、銀行はそれぞれの銀行と、担当がばらばらに分かれています。全部をまとめて教えてくれる場所が、そもそもありません。
数はたしかに多いのですが、順番が一本道であるとわかると、急に軽くなります。この記事では、その順番と、原則やらなくていい手続き、そして片方に寄りがちな作業をどう分けられるかを、公的な案内をたどって整理します。
手続きは片方にしかできない。でも、半分は代われます
名義変更は、姓を変えた側にだけ発生します。2024年に結婚したふたりのうち、夫の姓を選んだのが94.1%、妻の姓が5.9%[1]。多くの場合、窓口に並ぶのは妻側です。
窓口で書類を書く部分は、たしかに代われません。マイナンバーカードの記載事項変更も、免許証の記載変更も、口座の名義変更も、勤務先への届け出も、本人が出向く手続きです。
代われるのは、その手前です。2024年3月から、戸籍証明書は本籍地以外の市区町村の窓口でも受け取れるようになりました(広域交付)。請求できるのは本人・配偶者・父母や祖父母などの直系尊属・子や孫などの直系卑属で、窓口に来た人が顔写真つきの身分証明書を提示すれば発行されます。郵送や代理人による請求はできません[2]。
つまり配偶者は、「代理」ではなく自分の資格で戸籍謄本を取りに行けます。 パスポートの切替に要る一通は、これで片方が引き受けられます。
本人でないとできない
- マイナンバーカードの記載事項変更
- 運転免許証の記載変更
- 銀行・証券口座の名義変更
- 勤務先への届け出
- パスポートの申請
配偶者が引き受けられる
- 戸籍謄本を取りに行く(広域交付・身分証は自分のもので足りる)
- 手続きごとの必要書類を調べて一覧にする
- オンラインで済むものを先に洗い出す
- 窓口の受付時間と休日窓口を調べておく
- 同行して、待ち時間を分け合う
本人が出向く必要のある手続きは変えられない。変えられるのは、その手前の段取りのほう。
順番は、この一本道でいい
原則はひとつだけです。先に、新しい姓の顔写真つき身分証をつくる。 マイナンバーカードか運転免許証。この一枚さえできてしまえば、銀行も勤務先も保険も、提示するだけで進みます。ここを後回しにすると、旧姓の身分証しか出せずに二度手間になります。
パスポートを最後のほうに置いているのにも理由があります。切替申請には戸籍謄本が1通必要で[7]、新しい戸籍ができあがるまでには少し時間がかかります。急ぎの渡航予定がなければ、ここは慌てなくて大丈夫です。
- 1
婚姻届を出す
住民票の姓はここで変わります。引っ越しがあるなら、転入届・転居届も同じ窓口で一緒に。
- 2
マイナンバーカードの記載事項変更
住所地の市区町村の窓口。婚姻届と同じ庁舎で、続けて済ませられることもあります。
- 3
運転免許証
マイナ免許証なら市町村への届け出で完結。従来の免許証は、警察署や運転免許センターへ。
- 4
銀行・クレジットカード・保険
新しい姓の身分証ができてから。給与の振込口座は、勤務先への届け出とセットで。
- 5
勤務先
健康保険や厚生年金の手続きは勤務先経由です。社内の氏名登録もここで。
- 6
パスポート
戸籍謄本が1通必要。新しい戸籍ができてから。急ぎでなければ最後で十分です。
順番に決まりがあるわけではないが、顔写真つきの身分証を先に整えると、あとが早く終わる。
2025年3月から、免許証の氏名変更が市町村で済むようになりました
マイナンバーカードと運転免許証を一体化した「マイナ免許証」が、令和7年(2025年)3月24日から全国で運用されています[3]。持ち方は3通りあり、マイナ免許証にする、従来の免許証を持ち続ける、両方を持つ、のどれかを選べます。
結婚後の手続きに効いてくるのはここです。マイナ免許証については住所・氏名の変更手続がワンストップ化され、市町村に届け出れば警察への変更届出が不要になりました[3]。従来のカード型の免許証については、これまでどおり警察署や運転免許センターでの手続きになります。
婚姻届を出しに行った市区町村の窓口で、マイナンバーカードの記載事項変更と免許証の氏名変更が一度に片づく。結婚の事務としては、なかなか大きな変化です。窓口に行く前に、自分がどの持ち方なのかだけ確かめておくと無駄足になりません。
年金は、原則そのままで大丈夫です
やることリストに「年金」と書いてあるのを見て身構える必要は、たいていの場合ありません。年金記録にマイナンバーが収録されている方であれば、原則、氏名変更および住所変更に関する届出は不要だと、日本年金機構が案内しています[4]。
ただし例外は正確に押さえてください。届出が必要なのは次の場合です[4]。
- 年金記録にマイナンバーが収録されていない方
- マイナンバーを持たない海外居住の方
- 短期在留外国人の方
このいずれかにあたる場合は、厚生年金に加入している方は勤務先経由で、自営業などの方はお住まいの市区町村の窓口で届け出ます。「原則不要」を「全員不要」と読み替えないでください。自分が当てはまるかどうかを一度確かめる、それだけで済む話です。
姓を変えても、旧姓のまま働けます
仕事の名前を変えたくない、という理由で改姓に気が進まない人は少なくありません。この数年で、旧姓(旧氏)を公的に証明する手段はかなり整いました。
住民票やマイナンバーカードへの旧氏の併記は、令和元年11月5日から始まっています[5]。運転免許証への旧姓併記は令和元年12月1日から。こちらは、先に市区町村で住民票に旧氏を併記しておくことが前提です[6]。パスポートは令和3年4月1日に要件が緩和され、旧姓が確認できれば併記が認められるようになりました[7]。
順番でいえば、まず住民票。ここに旧氏が入っていれば、免許証もパスポートも後から続けられます。旧姓で仕事を続けるつもりなら、名義変更のついでに併記もお願いしてしまうのが、いちばん手数が少なくて済みます。
令和元年11月5日
住民票・マイナンバーカード等に旧氏を併記できるようになった
令和元年12月1日
運転免許証に旧姓を併記できるようになった(住民票への併記が前提)
令和3年4月1日
パスポートの旧姓併記の要件が緩和され、旧姓が確認できれば認められるようになった
いずれも制度が始まった日。出典は本文の総務省・警察庁・東京都の案内のとおり。
なぜ、どこにもまとまって載っていないのか
名義変更の全体像がまとまって出てこないのは、誰かが不親切だからではありません。窓口が制度ごとに分かれているからです。住民票とマイナンバーカードは市区町村、免許証は警察、パスポートは都道府県の旅券窓口、年金は日本年金機構、口座や保険は各社。それぞれが自分の管轄については正確に書いていて、横断してまとめる役目の人がいない、というだけのことです。
結婚情報のメディアで扱われにくいことにも、理由があります。この領域には、紹介できる商品も、送客できる先もありません。式場やドレスの記事と違って、どれだけ丁寧に書いても売上にはつながらない。だから後ろに回りやすい。
私たち(Harebiyori)も、この手続きで何かを売れるわけではありません。だから、淡々と書けます。
誰が引き受けるかまで書き込めます。無料ではじめられます。クレジットカード不要。
この記事を送る
タイトルとリンクが一緒に入るので、送られた側にも何の記事か伝わります。
よくある質問
- 名義変更はいつまでに済ませないといけませんか?
- 手続きごとに扱いが違い、届け出の期限が定められているものもあります。婚姻届を出すときに市区町村の窓口で受け取る案内に、その市区町村での期限と必要なものが書かれているので、そこを確認してください。全体としては、顔写真つきの身分証を先に整えるほうが結局早く終わります。急ぎの渡航予定がなければ、パスポートは後回しでかまいません。
- 婚姻届と同じ日に、名義変更まで済ませられますか?
- マイナンバーカードの記載事項変更は同じ市区町村の窓口なので、続けて済ませられることがあります。マイナ免許証を持っている場合は、住所・氏名の変更手続がワンストップ化されていて、市町村に届け出れば警察への変更届出は不要です[3]。一方で、銀行や勤務先は新しい姓の身分証ができてからのほうが確実です。全部を一日に詰め込む必要はありません。
- 年金の手続きは、本当にしなくていいのですか?
- 年金記録にマイナンバーが収録されている方であれば、原則、氏名変更および住所変更に関する届出は不要だと日本年金機構が案内しています[4]。ただし、マイナンバーが収録されていない方、マイナンバーを持たない海外居住の方、短期在留外国人の方は届出が必要です。この3つに当てはまらないかどうかだけ、確かめておいてください。
- 仕事では旧姓のままでいたいのですが、できますか?
- 勤務先の運用によりますが、公的に証明する側は整っています。住民票やマイナンバーカード等への旧氏の併記は令和元年11月5日から[5]、運転免許証への旧姓併記は令和元年12月1日から(住民票への併記が前提)[6]、パスポートは令和3年4月1日に要件が緩和されました[7]。まず住民票に旧氏を併記するところから始めてください。
- 戸籍謄本は、本籍地まで行かないと取れませんか?
- 2024年3月から、本籍地以外の市区町村の窓口でも受け取れるようになりました(広域交付)。請求できるのは本人・配偶者・父母や祖父母などの直系尊属・子や孫などの直系卑属で、窓口に来た方の顔写真つきの身分証明書の提示が必要です。郵送や代理人による請求はできません[2]。配偶者は自分の資格で請求できるので、片方が代わりに取りに行けます。
- パスポートは、姓が変わったら必ず作り直しですか?
- 有効期間10年(18歳以上)または5年(18歳未満)のパスポートを新たに申請する切替申請のほかに、残っている有効期間が同じ新しいパスポート(残存有効期間同一旅券)を申請する方法があります(18歳以上)。どちらも戸籍謄本が1通必要で、オンライン申請の場合は戸籍電子証明書の連携により不要になります[7]。お住まいの都道府県の旅券窓口の案内を確認してください。
出典
数字は公開された一次情報から。公的統計・法令の公的解説と、民間調査を区別しています。
- [1]内閣府男女共同参画局「夫の姓・妻の姓別にみた婚姻件数」(厚生労働省「人口動態統計」より作成)公的統計2024
- [2]法務省「戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)」(戸籍証明書等の広域交付・請求できる方の範囲・本人確認書類)法令・制度2024
- [3]警察庁「マイナンバーカードと運転免許証の一体化等について」(令和7年3月24日から全国で運用・住所/氏名の変更手続のワンストップ化)法令・制度2025
- [4]日本年金機構「結婚して氏名や住所が変わったとき、年金に関して何か手続きが必要ですか。」(マイナンバー収録者は原則届出不要・例外)法令・制度2025
- [5]総務省「住民票、マイナンバーカード等への旧氏の併記について」(住民基本台帳法施行令等の一部改正・令和元年11月5日施行)法令・制度2019
- [6]警察庁「運転免許証への旧姓併記について」(令和元年12月1日から・住民票への旧氏併記が前提)法令・制度2019
- [7]東京都生活文化スポーツ局「氏名・本籍等に変更があった場合」(切替申請・残存有効期間同一旅券・戸籍謄本1通・令和3年4月1日からの旧姓併記の要件緩和)法令・制度2026
この記事の編集方針
このガイドは、結婚式の準備をまるごと手伝う無料アプリ「Harebiyori」が書いています。送客手数料や広告費で、記事のおすすめ・順位を動かすことはありません。だから費用も段取りも、どこかへ誘導することなく、ふたりの側に立って書けます。
数字は、厚生労働省の人口動態統計などの公的統計と、公開された民間調査の一次情報に基づく目安です(各ページ末尾に出典を明記しています)。地域・会場・時期によって幅があるので、最後はふたりのペースで読み替えてください。