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「扶養」と呼ばれているものは二つあります

結婚を機に扶養に入るとき、見る数字は一つではありません

最終更新 2026.08.03·約16分·出典8件法令8

広告や手数料で本文とおすすめを動かしません。編集方針

さきに、要点だけ

  • 税の扶養と社会保険の扶養は別の制度です。判定するのが「1年間の実績」か「これからの見込み」かという、根本のところから違います
  • 税の数字は2025年(令和7年)12月1日施行の改正で動きました。103万円は123万円に、150万円は160万円になっています
  • 社会保険の130万円は月額108,333円で判定されることがあり、失業給付や傷病手当金も収入に数えます

結婚して働き方を変えるとき、まず出てくるのが「扶養に入る」という言葉です。

でも、この言葉は二つのまったく違う制度を同じ名前で呼んでいます。税の扶養と、社会保険の扶養です。所管が違い(国税庁と厚生労働省・日本年金機構)、基準の金額が違い、いつの収入で判定するかが違います。

そのうえ、税のほうの数字は最近動きました。2025年(令和7年)12月1日に施行され、令和7年分から適用される改正で、長く語られてきた「103万円」は123万円に、「150万円」は160万円になっています[2]。検索して出てくる記事の多くは、まだ古い数字のままです。

そして、たぶんいちばん誤解されているのはここです。123万円を超えても、控除がいきなり消えるわけではありません。

この記事は、どの数字がどこに効いているのかを、国税庁・日本年金機構・厚生労働省の資料で並べる話です。

POINT

二つの扶養で、いちばん違うのは判定の向きです。

税は、その年の12月31日に振り返って決める。社会保険は、その時点から先の見込みで決める。

だから、退職した人はすぐ社会保険の扶養に入れますが、税のほうはその年の収入次第です。逆の順番で起こることもあります。同じ「扶養」でも、片方だけ入っている状態はふつうにあります。

目次

  1. 01税と社会保険は、そもそも判定のしかたが違います
  2. 02123万円という数字の中身
  3. 03123万円を超えても、いきなり消えるわけではありません
  4. 04支える側の所得でも、控除額は変わります
  5. 05社会保険の130万円は、「これから」の数字です
  6. 06106万円という、もう一つの数字
  7. 07一時的に収入が増えたときの逃げ道
  8. 08入籍したら、実際に何をするのか
  9. 09働き方は、数字で決めなくていい

税と社会保険は、そもそも判定のしかたが違います

並べると、違いがはっきりします。

税の扶養は、その年の1月1日から12月31日までの実績で決まります。配偶者控除の要件は「その年の12月31日の現況で」判定する、と国税庁が書いています[2]。年末になってから、その年がどうだったかを見る仕組みです。

社会保険の扶養は違います。日本年金機構の説明がこうです。「年間収入とは、過去の収入のことではなく、被扶養者に該当する時点および認定された日以降の年間の見込み収入額のことをいいます。」[6]

過去ではなく、これから。 ここが決定的に違います。だから、退職して収入がゼロになった人は、その年に何百万円稼いでいたとしても、退職した時点から先の見込みで判定されます。逆に、月の給料が高い状態が続くなら、年の途中でも外れることになります。

もう一つ、効果が違います。税の扶養は支える側の税金が安くなる制度です。社会保険の扶養は支えられる側の保険料がゼロになる制度です。得をする人が違います。

だから、「扶養に入ったほうがいいか」という問いは、実は二つの問いです。片方だけ入る、という状態もふつうに起こります。

同じ「扶養」でも、中身は別の制度です

税の扶養(所得税・住民税)

  • 判定はその年の12月31日の現況。1年間の実績で見る
  • 効果は、支える側の所得から控除が引かれること
  • 配偶者控除は合計所得58万円以下(給与のみなら123万円以下)
  • 外れても配偶者特別控除が合計所得133万円まで段階的に続く
  • 支える側の合計所得が1,000万円を超えると、どちらも受けられない

社会保険の扶養(健康保険・年金)

  • 判定はこれからの見込み。過去の収入ではない
  • 効果は、支えられる側の保険料がゼロになること
  • 年間収入130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)
  • かつ、同居なら被保険者の収入の半分未満、別居なら仕送り額未満
  • 失業等給付・公的年金・傷病手当金・出産手当金も収入に含む

国税庁タックスアンサーおよび日本年金機構の説明より。金額は2026年8月時点のものです。

123万円という数字の中身

税のほうから見ます。

配偶者控除を受けられるのは、配偶者の合計所得金額が58万円以下のときです[1]。国税庁は続けて、「給与のみの場合は給与収入が123万円以下(令和6年分以前は103万円以下)」と書いています[2]。

58万円と123万円の差、65万円が何かというと、給与所得控除です。給与収入190万円までは、給与所得控除額は650,000円と定められています[4]。給与収入から65万円を引いた残りが合計所得金額になるので、123万円 − 65万円 = 58万円。これが「給与なら123万円」の中身です。

なぜ103万円から123万円に変わったのか。 二つの数字が同時に動いたからです。給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円になり、あわせて基礎控除も見直されました[5]。国税庁はこの改正について、「令和7年12月1日に施行され、令和7年分から適用される金額です」と注記しています[2]。

施行が12月1日で、適用は令和7年分の全体。つまり2025年の1月分にさかのぼって新しい数字で計算します。 ここを読み違えて「2026年からだ」と書いている情報があるので、注記のほうを見てください。

配偶者控除には、金額のほかに三つの要件があります[2]。

  • 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)
  • 納税者と生計を一にしていること
  • 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと

一つめが、この記事の文脈では大事です。入籍していないと、配偶者控除は使えません。 式を挙げていても、婚姻届が出ていなければ対象外です。逆に、婚姻届さえ出ていれば、式の有無は関係ありません。

123万円を超えても、いきなり消えるわけではありません

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。

「123万円の壁」という言い方をすると、そこを1円でも超えたら控除がゼロになるように聞こえます。そうはなっていません。 配偶者控除の代わりに、配偶者特別控除が効きはじめます。

国税庁の説明では、配偶者特別控除は配偶者の合計所得金額が58万円超133万円以下のときに受けられます[3]。そして控除額は、いきなりゼロになるのではなく、段階的に下がっていきます。

下の図は、支える側の合計所得が900万円以下の場合の表を、そのまま並べたものです[3]。控除の段は9つあって、いちばん下の133万円超で0円になります。

最初の段の38万円は、配偶者控除と同じ額です。 つまり、合計所得95万円までは、配偶者控除でも配偶者特別控除でも、支える側が引ける額は変わりません。

給与だけで働いている場合、合計所得95万円は給与収入160万円に当たります(95万円+給与所得控除65万円)。給与で年160万円までは、控除額が満額のままということです。令和6年分までは150万円でしたが、給与所得控除が10万円増えたぶん、この線も上がりました。

だから、税だけを見るなら「123万円の壁」は壁ではありません。 段差があるのは、実はもっと先です。

なお、配偶者特別控除には一つ注意があります。国税庁は「配偶者特別控除は夫婦の間で互いに受けることはできません」と書いています[3]。ふたりとも同じくらいの所得で、お互いに控除しあう、ということはできません。

配偶者特別控除は、段になって下がります
合計所得 58万〜95万円
38万円
95万〜100万円
36万円
100万〜105万円
31万円
105万〜110万円
26万円
110万〜115万円
21万円
115万〜120万円
16万円
120万〜125万円
11万円
125万〜130万円
6万円
130万〜133万円
3万円
133万円超
0円

国税庁タックスアンサーNo.1195「配偶者特別控除」の令和7年分以降の表より。支える側の合計所得が900万円以下の場合。給与だけなら、合計所得95万円は給与収入160万円に当たります。[3]

支える側の所得でも、控除額は変わります

見落としやすいのが、こちらです。控除額は、支えられる側の収入だけで決まりません。

配偶者控除の額は、支える側の合計所得金額によって三段階になります[2]。

  • 900万円以下 → 38万円
  • 900万円超950万円以下 → 26万円
  • 950万円超1,000万円以下 → 13万円

そして、「控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、配偶者控除は受けられません」[2]。配偶者特別控除にも同じ制限があり、要件の一つめが「控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること」です[3]。

つまり、支える側の年収が高いと、扶養に入っても税の面では何も起きません。 この場合、働き方を調整する理由は税にはなくなります。社会保険のほうだけを見ればいい、ということになります。

配偶者が70歳以上の場合は「老人控除対象配偶者」として控除額が上がりますが(900万円以下で48万円)[2]、結婚したばかりの場面ではあまり関係しません。

社会保険の130万円は、「これから」の数字です

ここから、もう一つの扶養です。

日本年金機構が示している収入要件は、こうです[6]。

「年間収入(※1)130万円未満(60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円未満)かつ 同居の場合:収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満(※2) 別居の場合:収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満」

条件は二つあります。 130万円未満であることと、支える人との比較。ここは意外と知られていません。同居していて、たとえば被保険者の年収が240万円なら、120万円未満でないと外れることになります。130万円だけを見ていると足をすくわれます。

そして注1が、判定のしかたを説明しています。「年間収入とは、過去の収入のことではなく、被扶養者に該当する時点および認定された日以降の年間の見込み収入額のことをいいます。(給与所得等の収入がある場合、月額108,333円以下、雇用保険等の受給者の場合、日額3,611円以下であれば要件を満たします。)」[6]

月額108,333円という数字が出てきます。130万円 ÷ 12 の端数処理です。月ごとに見られるということは、「年の後半だけ集中して働いて年間では130万円以下」という形が、通らないことがあるということです。

さらに、収入に数えるものの範囲が広い。「被扶養者の収入には、雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金も含まれますので、ご注意願います。」[6]

退職して失業給付をもらう予定がある人は、ここを見ておく必要があります。日本年金機構はこう説明しています。「雇用保険の待機期間中でも、収入要件を満たしている場合は被扶養者として認定することが可能です。ただし、基本手当(3,612円以上)の支給が始まった場合は、扶養削除の届出が必要となります。」[6]

つまり、待期の間は扶養に入れるが、給付が始まったら抜ける。そしてまた給付が終わったら入り直す。手続きが二往復することになります。

社会保険の扶養に入れるかを見る順番
  1. 1

    1. これからの見込みで、年間130万円未満か

    過去1年の実績ではなく、認定される日から先の見込み。給与なら月額108,333円以下、雇用保険等の受給者なら日額3,611円以下が目安として示されています。

  2. 2

    2. 支える人の収入と比べてどうか

    同居なら被保険者の収入の半分未満、別居なら被保険者からの仕送り額未満。130万円未満でも、この条件で外れることがあります。

  3. 3

    3. 数える収入の範囲を確かめる

    給与だけではありません。雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金も含まれます。基本手当が日額3,612円以上になると扶養から外れます。

  4. 4

    4. 勤め先の健康保険組合に確かめる

    ここに書いたのは日本年金機構(協会けんぽ)の基準です。健康保険組合によっては独自の取扱いがあります。手続きは支える側の勤め先を通します。

日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」より。健康保険組合によって独自の基準がある場合があります。

106万円という、もう一つの数字

社会保険には、130万円のほかにもう一本の線があります。厚生労働省の説明では、こうです。

「こうした方の収入が増加して 一定の収入を超えると、社会保険料の負担が発生 し、その分手取り収入が減少するため、これを回避する目的で就業調整する方がいらっしゃいます。その 収入基準(年収換算で約106 万円や 130 万円)がいわゆる「年収の壁」 と呼ばれています。」[7]

106万円のほうは、性格が違います。130万円は「扶養から外れる」線ですが、106万円は自分が勤め先の社会保険に入る線です。従業員数や労働時間などの条件を満たすと、扶養に入るかどうかとは別に、自分が被保険者になります[8]。

そして、この106万円という線は、なくなる方向で制度が動いています。 厚生労働省は、令和7年の年金制度改正法によって賃金の要件が撤廃されること、企業規模の要件も段階的に縮小・撤廃されることを示しています[8]。

つまり、106万円を前提に働き方を設計しても、その前提のほうが数年で変わります。 いま調べて出てくる106万円の説明も、少しずつ実態と合わなくなっていきます。

ここは、正確に追いかけるより「変わる予定のものだ」と知っておくほうが実際的です。判断が必要になったら、そのときに勤め先か年金事務所に確かめる。それでいいと思います。

一時的に収入が増えたときの逃げ道

結婚の前後は、収入が例年どおりにならないことがあります。退職金が出た、繁忙で残業が続いた、退職前に有給を消化して手当が出た。

こういうときのために、制度が用意されています。厚生労働省の説明です。「契約書などに加え、一時的な収入である旨の事業主の証明を添付することで、原則として連続2回までは引き続き扶養に入り続けることが可能です。」[7]

連続2回まで。 つまり、一時的な増収が理由なら、証明をつけることで扶養に留まれる道があります。厚生労働省はこの取扱いを恒久化する方針も示しています[7]。

もう一つ。厚生労働省は「被扶養者認定における労働契約内容による年間収入の取扱い」の導入にも触れています[7]。認定の時点で労働契約の内容から年間収入を見る、という方向です。

いずれも、知らないと使えない仕組みです。収入が例年より増えて扶養から外れそうなときは、外れる前に勤め先の担当者に聞いてみる価値があります。

入籍したら、実際に何をするのか

手続きの話に落とします。

社会保険の扶養に入るなら、届出は支える側の勤め先を通して行います。本人が年金事務所に行くのではありません。日本年金機構は提出時期を「事実発生から5日以内」としています[6]。

5日は短いです。入籍と退職が近い時期にあると、あっという間に過ぎます。 実務としては勤め先が処理してくれることがほとんどですが、こちらから伝えるのが遅れると、そのぶんずれます。婚姻届を出したら、早めに勤め先に伝える。それだけです。

国民年金の第3号被保険者の手続きも、同時に動きます。配偶者が20歳以上60歳未満で、自分で厚生年金に加入していない場合、原則として第3号被保険者になります[6]。これも勤め先を通す届出で、被扶養者の届出と一緒に処理されるのがふつうです。

税の扶養のほうは、急ぎません。年末調整のときに、勤務先から配られる「給与所得者の扶養控除等申告書」と、基礎控除・配偶者控除等をまとめて記入する申告書に配偶者の氏名と所得を書けば足ります(様式の名称は年によって変わります)。年の途中で結婚しても、その年の12月31日の現況で判定されるので、年末に間に合えば適用されます[2]。

姓が変わる場合は、これらとは別に名義変更の手続きが続きます。順番と必要書類は、別の記事にまとめてあります。

入籍のあと、扶養まわりで動くこと
  1. 婚姻届を出す

    ここが「事実発生」の起点になります。受理された日を控えておきます。

  2. 5日以内

    社会保険の被扶養者の届出。提出時期は「事実発生から5日以内」。手続きは支える側の勤め先を通します。

  3. 同時期

    国民年金の第3号被保険者の届出。20歳以上60歳未満で自分は厚生年金に加入していない場合。被扶養者の届出とあわせて処理されるのがふつうです。

  4. 退職・就職があれば都度

    失業給付の基本手当が日額3,612円以上になったら扶養削除の届出。給付が終われば入り直す。二往復します。

  5. 年末調整のとき

    税の扶養は、その年の12月31日の現況で判定。年の途中の結婚でも、年末調整に間に合えばその年から適用されます。

日本年金機構および国税庁の説明より。勤め先や健康保険組合によって手順が異なることがあります。

働き方は、数字で決めなくていい

ここまで数字を並べておいて言うのも変ですが、最後に一つ。

「壁」の手前で働く量を調整するのが得かという問いには、この記事は答えを持っていません。税と社会保険の損得だけを計算すれば答えは出ますが、実際に効いてくるのはそれだけではないからです。

たとえば、社会保険に自分で入ると、保険料は増えますが、将来の厚生年金の額も増えますし、傷病手当金や出産手当金といった給付の対象にもなります。目先の手取りだけを比べると、この部分が計算から落ちます。

そして、結婚の直後は、働き方が定まらない時期でもあります。転居があり、姓が変わり、通勤時間が変わる。「いくらまでにするか」を先に決めるより、生活が落ち着いてから決め直すほうが、たいていうまくいきます。

必要なのは、選ぶための一覧ではなくて、どの数字がどこに効いているかを知っていることだと思います。それさえ分かっていれば、決めるのは後からでも間に合います。

そして、実際の判断が必要になったときの聞き先は決まっています。社会保険なら勤め先の担当者か年金事務所、税なら税務署です。健康保険組合には独自の取扱いがあることもあるので、最後は自分の組合に確かめてください。

Harebiyori の考え

「年収の壁」は、書けば読まれるテーマです。だから、損得を煽る記事がたくさんあります。「知らないと年間◯万円損する」という書き方をすれば、人は動きます。

私たちはそれをしません。この記事に書いたのは、国税庁と日本年金機構と厚生労働省が公開している基準そのものです。 どう働くかは、その人の事情で決めることで、記事が決めることではありません。

私たち(Harebiyori)は、カップルを特定の式場へ誘導して稼ぐことをしません。送客手数料や広告費で記事のおすすめや順位を動かすこともしません。保険や金融商品の紹介もしていないので、この記事から何かを売る先もありません。

そして、この記事は税務や社会保険の助言ではありません。制度は変わります。実際に判断するときは、勤め先の担当者、年金事務所、税務署に確かめてください。

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よくある質問

税の扶養と社会保険の扶養、両方に入れますか。
両方に入ることも、片方だけということもあります。判定の基準も、いつの収入で見るかも違うからです。税の扶養はその年の12月31日の現況で判定し、社会保険の扶養は認定される日から先の見込みで判定します。たとえば年の途中で退職した場合、社会保険はすぐに入れても、その年の税の扶養は年間の収入次第で入れないことがあります。
「103万円の壁」はもうないのですか。
配偶者控除を受けられる給与収入の上限は、令和6年分以前は103万円以下でしたが、令和7年分からは123万円以下になりました。国税庁は「令和7年12月1日に施行され、令和7年分から適用される金額です」と注記しています。給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円になり、あわせて基礎控除も見直されたためです。ネットに残る103万円という数字は、令和6年分以前のものです。
123万円を1円でも超えると、控除はなくなりますか。
なくなりません。配偶者控除の代わりに配偶者特別控除が効きはじめ、配偶者の合計所得金額が133万円以下まで続きます。しかも合計所得95万円(給与だけなら給与収入160万円)までは控除額が38万円で、配偶者控除と同じです。そこから段階的に下がり、133万円を超えるとゼロになります。急な段差があるのは、税よりも社会保険の130万円のほうです。
社会保険の130万円は、去年の年収で判定されますか。
されません。日本年金機構は「年間収入とは、過去の収入のことではなく、被扶養者に該当する時点および認定された日以降の年間の見込み収入額のことをいいます」と説明しています。給与所得等の収入がある場合は月額108,333円以下、雇用保険等の受給者の場合は日額3,611円以下であれば要件を満たす、という目安も示されています。
失業給付をもらいながら扶養に入れますか。
日本年金機構は「雇用保険の待機期間中でも、収入要件を満たしている場合は被扶養者として認定することが可能です。ただし、基本手当(3,612円以上)の支給が始まった場合は、扶養削除の届出が必要となります」と説明しています。待期の間は入れて、給付が始まったら抜け、給付が終わればまた入る、という形になります。失業等給付のほか、公的年金、傷病手当金、出産手当金も収入に含まれます。
手続きはいつまでにすればいいですか。
社会保険の被扶養者の届出は、日本年金機構の案内では「事実発生から5日以内」です。届出は支える側の勤め先を通して行うので、婚姻届を出したら早めに勤め先へ伝えてください。税のほうは年末調整に間に合えば足ります。その年の12月31日の現況で判定されるので、年の途中の結婚でもその年から適用されます。

出典

数字は公開された一次情報から。公的統計・法令の公的解説と、民間調査を区別しています。

  1. [1]国税庁 タックスアンサー No.1190「配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか」法令・制度令和7年4月1日現在法令等
  2. [2]国税庁 タックスアンサー No.1191「配偶者控除」法令・制度令和7年4月1日現在法令等
  3. [3]国税庁 タックスアンサー No.1195「配偶者特別控除」法令・制度令和7年4月1日現在法令等
  4. [4]国税庁 タックスアンサー No.1410「給与所得控除」法令・制度令和7年4月1日現在法令等
  5. [5]国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」法令・制度2025年
  6. [6]日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」法令・制度2026年
  7. [7]厚生労働省「『年収の壁』への対応」法令・制度2026年
  8. [8]厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」法令・制度2026年

この記事の編集方針

このガイドは、結婚式の準備をまるごと手伝う無料アプリ「Harebiyori」が書いています。送客手数料や広告費で、記事のおすすめ・順位を動かすことはありません。だから費用も段取りも、どこかへ誘導することなく、ふたりの側に立って書けます。

数字は、厚生労働省の人口動態統計などの公的統計と、公開された民間調査の一次情報に基づく目安です(各ページ末尾に出典を明記しています)。地域・会場・時期によって幅があるので、最後はふたりのペースで読み替えてください。

編集方針と運営者について、くわしく →

contents

目次

  1. 税と社会保険は、そもそも判定のしかたが違います
  2. 123万円という数字の中身
  3. 123万円を超えても、いきなり消えるわけではありません
  4. 支える側の所得でも、控除額は変わります
  5. 社会保険の130万円は、「これから」の数字です
  6. 106万円という、もう一つの数字
  7. 一時的に収入が増えたときの逃げ道
  8. 入籍したら、実際に何をするのか
  9. 働き方は、数字で決めなくていい

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