「両家」の形は、決まっていません
親が離婚している、親がいない。結婚式の「両家」が揃わないとき
最終更新 2026.08.02約9分出典4件法令3民間1
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結婚式の準備を進めていると、書類にも席次表にも、当たり前のように「両家」という言葉が出てきます。招待状の差出人。親族の席。親族紹介。費用の相談。どれも、両家の親が揃っている前提で書かれています。
親が離婚している。何年も会っていない。すでに亡くなっている。再婚した相手がいる。片方の親としか連絡がつかない。そういうとき、この前提はいちいち引っかかります。引っかかるたびに、自分たちのほうが例外なのだと思わされます。
けれど、それは慣習の側が一つの形しか用意していないだけです。制度のほうは、ずっと静かです。
この記事では、決まっていることと決まっていないことを分けて、決まっていないほうをふたりで決めるための材料を並べます。
決まっていることは、思っているより少ない
まず、法律の側を確かめておきます。
日本国憲法第24条第1項は「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し」と定めています[1]。民法では、婚姻は届出によって効力が生じ、その届出には「当事者双方及び成年の証人二人以上」の署名が要ります[2]。証人は成年であればよく、親である必要はありません。受理の可否を左右するのは年齢・重婚・近親婚などの要件だけで、親の同意は入っていません[2]。かつて未成年者の婚姻に父母の同意を求めていた第737条は、婚姻できる年齢が男女とも18歳に統一されたときに削除されました[2][3]。
ここまでが「婚姻」という制度の話です。そして、ここからが本題になります。結婚式のやり方を定めた法律は、そもそも存在しません。 差出人も、席次も、親族紹介も、法律の外にあります。
だから、式の作法に「違反」という状態はありえません。あるのは、多数派の慣習と、それに合わない事情だけです。
法律に書いてあること
- 婚姻は「両性の合意のみ」に基いて成立する(憲法24条1項)
- 届出をすることで効力が生じる(民法739条1項)
- 届出には成年の証人が2人以上要る(同2項)。親である必要はない
- 受理を左右するのは年齢・重婚・近親婚などの要件(民法740条)
どこにも書かれていないこと
- 招待状の差出人を、誰の名前にするか
- 親の席をどこに置くか。そもそも置くか
- 親族紹介をするか。するなら誰が、どの順で読むか
- 費用を、どの家がどう分けるか
- 誰と一緒に入場するか
左は法律に書いてあること。右は、どこにも書かれていないこと。
招待状の差出人は、揃えられるほうへ揃える
招待状の差出人には、大きく分けてふたつの形があります。両家の親の名前を並べる形と、ふたりの名前で出す形です。どちらも実際に使われていて、優劣はありません。
両家が揃わないときに困るのは、片方だけ親の名前を出したときです。 並んだときに、もう片方の欠けが際立ってしまう。だから、揃えるなら揃えられるほうへ揃えます。つまり、ふたりの名前で出す。この形なら、家の事情が文面に出ません。
亡くなった親のことを書きたい場合は、名前を残す書き方をする人もいれば、書かない人もいます。どちらも普通です。決め手になるのは慣習ではなく、その招待状を受け取る人たちの顔ぶれのほうです。事情を知っている人しか来ないのか、初めて会う人も来るのか。それで、書いて自然かどうかが変わります。
ここで一つ、実務的な注意を。差出人は、印刷に出す直前まで変えられます。 迷っているうちは決めなくて構いません。先に決めるべきは、誰を呼ぶかのほうです。
席と親族紹介は、「家」ではなく「人」で組む
席次表のテンプレートは、たいてい新郎側・新婦側で左右に分かれています。この形は、両家の人数と構成が似ているときにはよくできています。似ていないときは、途端に窮屈になります。
そこで、順番を変えます。家で分けてから人を入れるのではなく、来る人を先に全部書き出して、そこから並べる。 親の席をどこに置くか、そもそも置くかも、その中の一つの判断になります。招くかどうか自体を迷っているなら、親を呼ばない式の組み方に分けて書きました。
親族紹介も同じです。することも、しないことも選べます。するなら、誰が読むかを決めます。親が読む慣習がありますが、叔父でも、きょうだいでも、ふたりのどちらかでも構いません。読む人が決まらないなら、しなくてもいい。
決まった並びは、そのまま会場に渡してください。会場のテンプレートに合わせて自分たちの並びを直す必要はありません。
- 1
来る人を、全部書き出す
家ごとにまとめず、一列に。ここでは並べ替えをしません
- 2
その人が誰と一緒だと楽か、を考える
気の合う相手、同じ時期の知り合い、会話が続く相手。ここが席の骨格になります
- 3
親の席を、置くかどうか決める
置く場所も含めて自由です。片方の家にしか親がいない場合も、無理に対称にしなくて構いません
- 4
親族紹介の有無を決める
するなら、読む人を決めます。決まらないならしない、も選べます
- 5
決めた並びを、そのまま会場に渡す
会場のひな形に合わせて自分たちの並びを直さない。相談すれば組み替えてくれます
1と2を先にやると、3以降で迷いにくくなる。
費用の相談は、「折半」から始めない
費用の話し合いで最初に「両家で折半」という言葉が出ると、出せない側が黙ります。そこから先の会話は、ほとんど進みません。
順番を変えるだけで、ずいぶん違います。先に、それぞれが「いくらまでなら出せるか」を各自に聞く。 足してから、その額で組める式を考える。この順にすると、金額を比べ合う場面が生まれません。
参考までに、ゼクシィ結婚トレンド調査2024では、挙式・披露宴の費用としての親・親族からの援助があった人は74.2%、援助総額の平均は168.6万円でした[4]。多数派ではあります。だからこそ「うちは無いのか」と感じやすい数字でもあります。
けれど、これは「もらえるのが普通」という意味ではありません。家庭ごとに事情が違うだけです。援助がないなら、その前提で規模を決めればいい。式の大きさは、出せる額から決めていいものです。
会場に伝えるのは、事情ではなく段取りです
打ち合わせのたびに家庭の事情を説明するのは、しんどい作業です。そして、その必要はありません。
プランナーが当日の準備のために知る必要があるのは、次の4つだけです。
- 招待状の差出人は、この名前にします
- 当日、この人がこの席に座ります(親族の並びを含めて)
- 親族紹介は、します/しません(するなら、読む人はこの人です)
- 見積もりと請求の宛先は、ここです
事情を話したければ話して構いません。聞いてくれる人もいます。ただ、話さなくても式は組めます。説明しないと進まない、ということはありません。
一つだけ、早めに伝えておくと後が楽なことがあります。「当日、来ない人がいる」と決まっているなら、席次を組む前に言っておく。あとから席を抜くより、最初から無いほうが、並びがきれいに決まります。
なぜ、この話は書かれにくいのか
結婚式の記事の多くは、「一般的にはこうします」という形式で書かれています。数がいちばん多い形に向けて書くと、そうなります。両家の親が揃っている前提は、その最大公約数です。
もう一つ、書かれにくい理由があります。家庭の事情の話は、式場を決める後押しになりません。会場を紹介して手数料を得る媒体にとって、読者を式場見学へ向かわせない記事は、書く動機がありません。
私たち(Harebiyori)は、カップルを特定の式場へ誘導して稼ぐことをしません。送客手数料や広告費で記事のおすすめや順位を動かすこともしません。だから、多数派の形から外れる話も、そのまま書けます。
決まっていない欄は、空のままで大丈夫です。無料ではじめられます。クレジットカード不要。
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よくある質問
- 親が離婚しています。招待状の差出人はどうすればいいですか?
- ふたりの名前で出す形をおすすめします。両家の親の名前を並べる形もありますが、片方だけ親の名前を出すと、並んだときにもう片方の欠けが目立ちます。ふたりの名前なら、家の事情が文面に出ません。どちらも実際に使われている形なので、選んで構いません。印刷に出す直前まで変えられます。
- 婚姻届の証人は、親以外に頼んでも大丈夫ですか?
- 大丈夫です。民法739条2項が求めているのは「当事者双方及び成年の証人二人以上」の署名で、証人が親である必要はありません[2]。成年であれば、友人でも、きょうだいでも、職場の人でもかまいません。ふたりの証人が同じ家の人であっても差し支えありません。
- 親に反対されています。結婚できますか?
- 18歳以上であれば、親の同意は婚姻の要件ではありません。憲法24条1項は「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し」と定めていますし[1]、婚姻届の受理を左右するのは年齢・重婚・近親婚などの要件だけです[2]。かつて未成年者の婚姻に父母の同意を求めていた民法737条も、婚姻適齢が男女とも18歳に統一されたときに削除されました[3]。ただ、制度の話と気持ちの話は別です。手続きができることと、納得してもらえることは、切り分けて考えたほうが疲れません。
- 亡くなった親のことを、式でどう扱えばいいですか?
- 決まりはありません。招待状に名前を残す人もいれば、書かない人もいます。席をひとつ空けて置く人もいれば、写真を飾る人もいて、何もしない人もいます。どれも普通です。決め手になるのは慣習ではなく、当日その場にいる人たちの顔ぶれのほうです。触れられたくない人がいるなら、触れない選択も同じくらい自然です。
- 親族紹介は、しないといけませんか?
- しなくても構いません。法律にも会場の規則にもない慣習です。するかしないかを先に決めて、するなら読む人を決めます。親が読む形が多いですが、叔父でも、きょうだいでも、ふたりのどちらかでも問題ありません。両家で人数や構成が大きく違うときは、紹介そのものを省いて、当日の席で自然に話してもらうほうが穏やかに進むこともあります。
- 再婚した親の配偶者を、どの席にすればいいですか?
- 席次の慣習に当てはめようとすると、たいてい決まりません。「家」で並べるのをやめて、来る人を全部書き出してから、誰と一緒だと楽かで組んでください。本人がどう呼ばれたいか、当日どう振る舞いたいかは、事前に本人へ聞いておくと迷いが減ります。席次表の肩書きも、書かない選択ができます。
出典
数字は公開された一次情報から。公的統計・法令の公的解説と、民間調査を区別しています。
- [1]e-Gov法令検索「日本国憲法」第24条第1項(婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し)法令・制度1946
- [2]e-Gov法令検索「民法」(明治29年法律第89号)第731条(婚姻適齢)・第737条(削除)・第739条(婚姻の届出)・第740条(婚姻の届出の受理)法令・制度1896
- [3]法務省「民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について」(令和4年4月1日施行・婚姻適齢の統一)法令・制度2022
- [4]ゼクシィ結婚トレンド調査2024 首都圏(リクルートブライダル総研)挙式、披露宴・ウエディングパーティーの費用としての親・親族からの援助有無/援助総額【地域別】全国推計値民間調査2024
この記事の編集方針
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数字は、厚生労働省の人口動態統計などの公的統計と、公開された民間調査の一次情報に基づく目安です(各ページ末尾に出典を明記しています)。地域・会場・時期によって幅があるので、最後はふたりのペースで読み替えてください。