呼ばない、という選択について
親を結婚式に呼びたくない。呼ばない式は、ちゃんと成り立ちます
最終更新 2026.08.09約9分出典4件法令3民間1
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「親を呼びたくない」と検索したことがあるなら、そのあとに出てくる記事に、たぶん一度はがっかりしています。多くは、呼ぶ方向へ話を戻してくるからです。 一生に一度だから。あとで後悔するから。親も歳をとるから。
でも、あなたはもう十分に考えたはずです。何年もかけて考えて、それでも呼びたくないという結論が出ている。ここでその結論をもう一度ひっくり返す気は、私たちにはありません。
この記事は、呼ばないと決めた前提で書きます。式は物理的に成り立つのか。何を組み替えることになるのか。周りに何を言えばいいのか。扱うのは、その実務だけです。
先に結論だけ置いておきます。呼ばない式は、成り立ちます。会場は毎年そういう式を受けています。
親は、主催者ではありません
まず、動かせない線を確かめておきます。
婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることで効力が生じます[2]。その届出に要るのは、当事者ふたりと、成年の証人2人以上の署名だけです[2]。証人は成年であれば誰でもよく、親である必要はありません。受理の可否を左右するのも年齢・重婚・近親婚といった要件だけで、そこに親の同意は入っていません[2]。かつて未成年者の婚姻に父母の同意を求めていた民法737条は、婚姻適齢が18歳に統一されたときに削除されました[3]。憲法24条1項は、婚姻は「両性の合意のみに基いて成立し」と書いています[1]。
そして、結婚式のやり方を定めた法律は、そもそも存在しません。 誰を招くか、誰が挨拶するか、誰と入場するか。どれも法律の外にあります。
会場との関係も同じです。式場と契約するのはふたりで、見積書と請求書の宛先もふたりにできます。親が費用を出す場合でも、契約者を親にしなければならない決まりはありません。親は、招かれれば来るゲストのひとりです。 主催者でも、決裁者でもありません。
だから、呼ばないという判断に「違反」という状態はありません。あるのは、多数派の慣習と、そこに合わない事情だけです。
呼ばないと決めて、実際に組み替わるのは6か所
式の進行表は、両家から親が出席している前提で組まれています。ただし、その前提が効いている箇所は数えられます。6つです。
- 招待状の差出人 — 両家の親の名前を並べる形と、ふたりの名前で出す形があります。ふたりの名義にすれば、それだけで済みます
- 親族の席 — 席次表のひな形は新郎側・新婦側に分かれていますが、従う義務はありません。来る人を先に全部書き出してから並べます
- 親族紹介 — します、しません、どちらも選べます。しない式はたくさんあります
- 入場のエスコート — 父親と歩く形は演出のひとつです。ひとりで入る、ふたりで並んで入る、きょうだいや友人と入る。どれも実際に行われています
- 花束贈呈と手紙 — 渡す相手を親以外にすることも、この演出自体をやらないこともできます
- 見積もりと支払いの名義 — ふたりの名義で契約し、ふたりの口座から払う。これが一番はっきりした線引きになります
費用の点だけ、数字を添えておきます。ゼクシィ結婚トレンド調査2024(首都圏)では、挙式・披露宴の費用として親・親族からの援助があった人は74.2%、援助総額の平均は168.6万円でした[4]。裏を返せば、約4分の1は援助なしで挙げています。 珍しい形ではありません。
この6か所を決めてしまえば、あとの準備は誰が来ない式でも同じです。
ひな形にある「親前提」
- 招待状の差出人は、両家の親の連名
- 席次は、新郎側・新婦側で左右に分ける
- 親族紹介を、それぞれの親が読み上げる
- 新婦は、父親とバージンロードを歩く
- 最後に、両親へ花束と手紙を渡す
- 見積もりと請求は、親の名義で受ける
外したときの形
- 差出人は、ふたりの名前にする
- 来る人を全部書き出してから、席を組む
- 親族紹介はしない。するなら読む人を選ぶ
- ひとりで入る。ふたりで入る。友人と入る
- 渡す相手を選ぶ。または演出ごと外す
- 契約者も請求先も、ふたりの名義にする
左は式場のひな形にある「親前提」。右は、実際に選ばれている置き換え。
演出を断るのに、理由は要りません
打ち合わせでプランナーが出してくるのは、たいてい定番のほうからです。生い立ちムービー、両親への手紙、花束贈呈、父親とのエスコート。悪気はなく、多くの人が選ぶ順に並べているだけです。
ここで消耗しやすいのが、断るたびに理由を求められる気がしてしまうことです。実際には求められません。プランナーが当日のために知る必要があるのは、やるかやらないかだけです。
「これはやりません」で足ります。理由を足すと、そこから質問が枝分かれします。
差し替えたい場合の選択肢も、いくつか挙げておきます。
- 生い立ちムービー → 子ども時代を扱わず、ふたりが出会ってからだけで作る。または上映しない
- 手紙 → 読む相手をゲスト全員にする。育ててくれた祖父母や、支えてくれた友人に宛てる
- 花束贈呈 → 渡す相手を選ぶ。全テーブルへのプチギフト配りに置き換える
- エスコート → ひとりで入場する。ふたりで並んで入る
初回の打ち合わせで「この4つはやりません」とまとめて言っておくと、そのあと毎回蒸し返されずに済みます。会場によっては、進行表のひな形から先に消してくれます。
親戚への説明は、一行で足ります
呼ばないと決めたあと、いちばん気が重いのは親戚のほうかもしれません。伯父や伯母から「お父さんは?」と聞かれる場面が、もう想像できてしまう。
ここでの原則はひとつです。説明の長さと、納得の深さは比例しません。 むしろ理由を足すほど、質問が増えます。
そのまま使える一行を並べておきます。
- 「今回は、私たちだけで挙げることにしました」
- 「身内は呼んでいません」
- 「いろいろあって、今はこの形がいちばんです」
どれも理由を言っていません。それでいいのです。事情を話す相手は、あなたが選べます。話したい人にだけ話せばいい。
もう一つ。招待しなかったことを、招待した親戚に説明する義務はありません。 誰を招くかは招く側が決めることです。それでも踏み込んでくる人がいたら、その人との距離のほうを見直す場面かもしれません。
当日の写真をどこまで、誰に出すか。これも先に決めておくと楽です。共有する範囲を絞ると、あとから回り込んでくる話がぐっと減ります。
当日までの段取りを、先に埋めておく
不安の大半は、「当日どうなるか分からない」という一点から来ます。だから、決めておける場所を先に埋めます。
会場に伝えるのは、事情ではなく段取りです。「この名前の人は招待していません。当日いらしても、会場からご案内はしないでください」。この一文が受付とスタッフに共有されていれば、当日ふたりが判断する場面はなくなります。会場は毎年こういう式を受けていて、驚かれることもありません。
暴力やつきまといが絡む場合は、話の種類が変わります。式の相談ではなく、警察や自治体の相談窓口の話です。その実務は親と距離を置くための線引きのほうに書きました。
決めどころは、だいたい次の順に来ます。
会場を決めるとき
契約者と請求先を、ふたりの名義にする
招待状を出す前
差出人をふたりの名前にする。宛名リストを確定させる
1か月前
親前提の演出を外した進行表を、最終確認する
2週間前
受付とスタッフに、招待していない人が来た場合の対応を共有する
前日
緊急連絡先を、ふたり以外にもう1人決めておく
当日
受付は名簿で対応する。その場の判断はスタッフに任せる
後日
写真と報告を、どこまで誰に出すか決める
順に埋めていくと、当日ふたりが判断する場面が残りません。
なぜ、呼ばない選択は書かれにくいのか
結婚式の情報は、そのほとんどが式場を紹介して手数料を得る仕組みの上で書かれています。読者を式場見学へ向かわせる記事にこそ、書く動機があります。
親を呼ばない式の話は、そこに乗りません。それどころか、費用の一部を出す層である親を、否定的に扱うことになります。 媒体としては書きにくい。だから「まずは話し合いを」で終わる記事が並びます。
もう一つ。式の記事は「一般的にはこうします」という書き方をします。数の多い形に向けて書けば、そうなる。両親が揃って出席する式は、その最大公約数です。
私たち(Harebiyori)は、カップルを特定の式場へ誘導して稼ぐことをしません。送客手数料や広告費で記事のおすすめや順位を動かすこともしません。だから、多数派から外れる話も、そのまま書けます。
差出人も席次も、あとから何度でも変えられます。無料ではじめられます。クレジットカード不要。
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よくある質問
- 親を呼ばないと、式場に断られませんか?
- 断られません。会場が準備のために必要とするのは、人数と席、進行、支払いの名義だけです。誰が来ないのかを説明する必要もありません。「招待状の差出人はふたりの名前」「親族紹介はしません」「請求先はこちら」と段取りとして伝えれば、そのまま組んでもらえます。
- 招待状の差出人に親の名前を入れないのは、おかしいですか?
- おかしくありません。差出人を両家の親の連名にする形と、ふたりの名前で出す形があり、どちらも実際に使われています。優劣はなく、法律にも会場の規則にも根拠のない慣習です。ふたりの名義にすれば、家の事情が文面に出ません。印刷に出す直前まで変えられます。
- 親戚に理由を聞かれたら、何と答えればいいですか?
- 一行で足ります。「今回は私たちだけで挙げることにしました」「身内は呼んでいません」。どちらも理由を言っていませんが、それで会話は終わります。理由を足すほど質問が増えるので、短いほど楽です。事情を話す相手は、あなたが選んで構いません。
- 親に、式をすること自体を知らせないほうがいいですか?
- 知らせるかどうかと、招くかどうかは別の判断です。知らせない選択もできます。ただ、日程や会場が伝わる可能性があるなら、受付とスタッフに「招待していない人が来た場合の対応」を先に共有しておくと、当日ふたりが判断する場面がなくなります。暴力やつきまといが絡む場合は、式の相談ではなく警察や自治体の窓口に相談してください。
- 婚姻届の証人は、親以外に頼んでも大丈夫ですか?
- 大丈夫です。民法739条2項が求めているのは「当事者双方及び成年の証人二人以上」の署名で、証人が親である必要はありません[2]。成年であれば、友人でも、きょうだいでも、職場の人でも構いません。ふたりの証人が同じ家の人であっても差し支えありません。
- あとで後悔しないか、不安です。
- 決めきれないなら、間の形もあります。挙式だけを親抜きで行う、写真だけ残す、式とは別の日に食事の席を設ける、式のあとで報告する。呼ばない選択は、関係を永久に閉じる手続きではありません。 決められないうちは、規模と日程だけ先に進めても構いません。差出人も席次も、印刷の直前まで変えられます。
出典
数字は公開された一次情報から。公的統計・法令の公的解説と、民間調査を区別しています。
この記事の編集方針
このガイドは、結婚式の準備をまるごと手伝う無料アプリ「Harebiyori」が書いています。送客手数料や広告費で、記事のおすすめ・順位を動かすことはありません。だから費用も段取りも、どこかへ誘導することなく、ふたりの側に立って書けます。
数字は、厚生労働省の人口動態統計などの公的統計と、公開された民間調査の一次情報に基づく目安です(各ページ末尾に出典を明記しています)。地域・会場・時期によって幅があるので、最後はふたりのペースで読み替えてください。