
言い出しにくい側に、先に動く
妊娠中のゲストを招くとき、当日までに決めておくこと
最終更新 2026.08.18約10分出典2件法令2
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出欠の返事に、小さく一言が添えられていることがあります。「実は妊娠中で、当日どうなるか分からないのですが」。招待した側は、うれしさと同時に少し身構えます。何を用意すればいいのか、何を聞いていいのか。
そしてもうひとつ。返事に何も書かれていない人の中にも、妊娠している人がいます。 妊娠初期は外から見て分かりませんし、職場にも家族にもまだ言っていない時期があります。だから「言ってくれれば対応する」という構えでは、いちばん配慮が要る時期の人に届きません。
この記事は、本人が言い出さなくても届く形をつくるための実務です。特別なもてなしを足す話ではなく、先に決めておけば、当日ふたりが何もしなくていいという種類の準備を並べます。体調や食事の判断は人によって違うので、最終的には本人と、その人がかかっている医師の判断が優先です。
聞き方は、全員に同じ言葉で
やってはいけないのは、特定の人に「妊娠しているなら教えてね」と個別に聞くことです。悪気はなくても、まだ誰にも言っていない人にとっては、答えるか嘘をつくかの二択になります。
代わりに、全員に同じ欄で聞きます。 招待状の返信はがきやWeb招待状の自由記述に、「食べられないもの、当日の体調で気にかけてほしいことがあればお書きください」と一行入れておく。理由を書かせないのがこつです。理由の欄があると、書きたくない人は空欄にします。アレルギー、持病、服薬、そして妊娠中は避けたほうがよいとされる食品[1]。どれも、この一行で拾えます。
この形は、食物アレルギーの聞き方とまったく同じ設計です。全員に同じ質問をして、返ってきたものを厨房まで届ける。妊娠のことも、アレルギーや持病や服薬と同じ列に置いてしまえば、本人は「自分だけ特別扱い」と感じずに書けます。
返事をもらったら、その内容を誰にも言わないでください。 席次を組む親や、会場の担当者に共有するのは「この席の方は温かい料理に変更」といった実務の形にとどめます。妊娠を知られたくない相手が、同じ披露宴にいるかもしれません。
披露宴の前菜は、避けたほうがよい食品と重なりやすい
ここは意外に知られていません。厚生労働省のリーフレットは、妊娠中は一般の人よりリステリア菌に感染しやすくなり、赤ちゃんに影響がでることがあると書いています。リステリア菌は食品を介して感染する食中毒菌で、塩分にも強く、冷蔵庫でも増殖するとされています[1]。
そして、避けたほうがよい食べ物としてリーフレットが挙げているのは、ナチュラルチーズ(加熱殺菌していないもの)、肉や魚のパテ、生ハム、スモークサーモンです[1]。披露宴のコースの前菜を思い浮かべてみてください。この4つは、そのまま定番の顔ぶれです。
つまり、何も伝えなければ、妊娠中のゲストの前に、食べられない皿がそのまま置かれます。本人は黙って残すことになり、給仕のスタッフに気を使われ、周囲にも気づかれます。先に会場へ伝えておけば、加熱した料理への差し替えで済むことがほとんどです。 伝える経路はアレルギーと同じで、プランナー経由で厨房まで届く形にしてください。口頭だけでなく、席番号と内容を書いた一覧で渡すのが確実です。
妊娠中は避けたほうがよいとされる食品
- ナチュラルチーズ(加熱殺菌していないもの)
- 肉や魚のパテ
- 生ハム
- スモークサーモン
会場に相談できること
- 同じ皿を、加熱した料理に差し替えられるか
- 席番号を伝えて、その席だけ変更してもらえるか
- 当日の追加・変更が何日前まで可能か
- 見た目が大きく変わらない差し替えにできるか
何をどう変えられるかは会場と献立によります。まずは差し替えの可否を聞いてください。
席は、上座より出入口
妊娠中は、トイレが近くなります。長く座っているのもつらい時期があります。だから席は、中座しやすい場所がいちばんの配慮になります。
出入口に近い、通路側、テーブルの端。この3つのどれかであれば、席を立つときに人の後ろを通らずに済みます。上座・下座の慣習と衝突することがありますが、席次の考え方の記事に書いたとおり、慣習は前提が揃っている場面のためのものです。体調が優先で構いません。
あわせて、会場そのものの動線も見ておいてください。挙式会場から披露宴会場までの移動に階段があるか、エレベーターはどこか、控室からトイレまでが遠くないか。会場のバリアフリーを見る記事のチェックの仕方が、そのまま使えます。
冷房の風が直接あたる席も、体調によってはこたえます。夏の式なら、暑さ対策の記事で挙げた「屋外にいる時間を削る」考え方も同じように効きます。
なお、本人に希望を聞くのがいちばん確実です。 「高砂の近くがいい」という人もいれば「出入口がいい」という人もいます。勝手に端の席にすると、それはそれで寂しく感じられることがあります。
乾杯の一杯を、断らせない
乾杯のときに、グラスが空だと目立ちます。「飲まないの?」と聞かれ、その場で説明することになる。妊娠を伝えていない人にとっては、いちばん困る場面です。
対策はひとつだけです。乾杯のドリンクを選べるようにして、最初から注いでおく。 ノンアルコールのスパークリングやソフトドリンクを、希望した人の席に配っておけば、本人は何も言わずに乾杯できます。会場によっては乾杯用の飲み物を選べるので、打ち合わせで聞いてみてください。
このとき、妊娠している人だけを対象にしないのがこつです。車で来る人、体質的に飲めない人、服薬中の人、いまは飲みたくない人。車で来るゲストとお酒の記事にも書いたとおり、飲まない理由は人それぞれで、説明したくない理由も含まれます。全員に「飲み物は選べます」と伝えておけば、誰も理由を言わずに済みます。
歓談中も同じです。スタッフがワインを注いで回るとき、手でグラスを覆う仕草を何度もさせないよう、席の飲み物の希望を先に共有しておくと静かに解決します。
たばこの煙が、どこを通るか
会場のたばこの扱いは、2020年4月1日に全面施行された改正健康増進法で大きく変わりました[2]。屋内で喫煙できる場所は限られ、喫煙室には標識の掲示が義務づけられています。また、20歳未満の人は喫煙エリアへ立入禁止とされています[2]。
ふたりが確かめておくといいのは、法律の中身よりも位置です。喫煙室が、待合スペースや受付の動線上にあると、出入りのたびに扉が開き、そこを通る人が煙に近づきます。会場見学のときに、喫煙室の場所と、そこへ行くまでの経路を見ておいてください。
もし動線が重なっているなら、妊娠中のゲストや小さな子どもを連れたゲストの控えの場所を、そこから離すだけで大きく変わります。子どもを招くときの記事で書いた「待つ場所を用意する」考え方と同じです。
喫煙するゲストに我慢を求める話ではありません。場所を把握して、案内できるようにしておく。 それだけで、どちらにも気まずさが残りません。
当日、来られなくなることを最初から織り込む
妊娠中の体調は、本人にも当日まで分かりません。だから、招待の時点で伝えておいてください。「当日の朝でも大丈夫だから、無理はしないで」。
この一言があるかないかで、本人の準備がまったく変わります。ない場合、体調が悪くても「今さら断れない」と考えて出席し、途中でつらくなります。ある場合は、安心して直前まで様子を見られます。来てくれたらうれしい、来られなくても大丈夫。両方を先に言っておくのが、いちばんの配慮です。
実務としては、料理と引出物の数を何日前まで変更できるかを会場に確認しておきます。締切を過ぎた分は、そのままで構いません。欠席になった引出物は、後日届けることもできます。渡し方に迷ったら、引出物の記事の考え方が使えます。
途中退席の段取りも、ひとつだけ決めておいてください。具合が悪くなったとき、誰に声をかければいいか。 会場のスタッフでも、同じテーブルの共通の友人でも構いません。「何かあったら、あの人に言って」と先に伝えておけば、本人は黙って我慢しません。
そして、欠席になったとき。理由を聞かず、残念だとも言いすぎず、「またゆっくり会おうね」で終わらせてください。行けなかった側は、こちらが思う何倍も気にしています。
ゲストごとの食事の希望や配慮のメモを、席次と一緒に管理できます。無料ではじめられます。クレジットカード不要。
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よくある質問
妊娠しているか、直接聞いてもいいですか。
個別に聞くのは避けてください。まだ誰にも伝えていない時期の人にとって、答えるか嘘をつくかの二択になります。返信はがきやWeb招待状の自由記述に「食べられないもの、当日の体調で気にかけてほしいこと」を全員に同じ言葉で聞く形にしてください。理由を書かせないほうが、書いてもらいやすくなります。
料理は、何をどう変えてもらえばいいですか。
厚生労働省のリーフレットは、妊娠中に避けたほうがよい食べ物としてナチュラルチーズ(加熱殺菌していないもの)、肉や魚のパテ、生ハム、スモークサーモンを挙げています。まずは会場に、その席だけ加熱した料理に差し替えられるかを聞いてください。何が可能かは会場と献立によります。判断に迷うものは、本人と、その人がかかっている医師の判断が優先です。
席はどこにするのが正解ですか。
中座しやすい場所です。出入口に近い、通路側、テーブルの端のいずれかであれば、席を立つときに人の後ろを通らずに済みます。上座・下座の慣習と衝突しても構いません。ただし、本人に希望を聞くのがいちばん確実です。高砂の近くがいいという人もいます。冷房の風が直接あたる席かどうかも、あわせて見ておいてください。
当日、急に欠席になったらどうすればいいですか。
料理と引出物の数の変更締切を会場に確認して、間に合うなら調整します。間に合わなかった分は、そのままで構いません。引出物は後日届けることもできます。ご祝儀を後日いただいた場合のお返しは、内祝いの考え方がそのまま使えます。連絡をもらったら、理由は聞かず「またゆっくり会おうね」で受け止めてください。
会場に喫煙室があります。断ってもらうべきですか。
喫煙するゲストに我慢を求める必要はありません。改正健康増進法は2020年4月1日に全面施行され、喫煙室には標識の掲示が義務づけられ、20歳未満の人は喫煙エリアへ立入禁止とされています。ふたりが確かめるのは位置です。喫煙室が待合や受付の動線上にあるなら、妊娠中のゲストや子ども連れのゲストの控えの場所をそこから離してください。
出典
数字は公開された一次情報から。公的統計・法令の公的解説と、民間調査を区別しています。
この記事の編集方針
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数字は、厚生労働省の人口動態統計などの公的統計と、公開された民間調査の一次情報に基づく目安です(各ページ末尾に出典を明記しています)。地域・会場・時期によって幅があるので、最後はふたりのペースで読み替えてください。